贈与税ってなに? 課税される?
新人くん
家族信託について、いろいろと勉強してきたけど、そのなかで気になったのが贈与税です。家族信託とはどのような関係があるのでしょうか? 家族信託契約をすることで課税されるのですか?
良いところに目をつけましたね、新人くん。これまで贈与税については触れてこなかったので、今回は贈与税について学びましょう。今回は専門家である宮川めぐみ税理士に来てもらいました
山脇
新人君、一緒に学んでいきましょうね!
宮川
新人くん
ぜひお願いします!
贈与税ってなに? 課税される?
贈与税とは、個人から110万円を超える財産をもらった場合に、もらった人が負担する税金のことです。
贈与税は、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産を合計し、その合計から基礎控除額の110万円を差し引いた残額に贈与税の税率をかけて計算します。
また、次のような場合には贈与されたものとみなされ、贈与税がかかる場合があります。
みなし贈与
対価を支払うことなく、不動産や株券の名義を自分に変更してもらった場合
返済能力がないのに親兄弟などから多額の借金をした場合
自分で掛け金を負担していないのに、生命保険や損害保険の満期保険金を受け取った場合
著しく低い価額で財産の贈与を受けた場合
そして、贈与税がかからないのは以下のようなケースです。
贈与税がかからない場合
- 扶養義務者のあいだでの生活費や教育費など
- 法人からの贈与によって取得した財産
- 心身障害者共済制度に基づく給付金
- 通常の見舞金、香典、贈答
「家族信託と贈与税はどのような関係があるのですか? 受諾者は贈与税を支払う必要がある?」
日本の税務では、「受益者負担」がベースです。これは契約内容に関係なく、実際に利益を受けた人に対して課税されるという意味になります。
家族信託契約を結ぶと、委託者から受諾者に財産の所有権が形式上移転します。このことから、受託者に対して贈与税が課税されると考えがちです。でも、家族信託は、必ずしも受託者が信託財産から利益を受けるとは限りません。家族信託によって贈与税が課税されるのは、信託財産から利益を受ける受益者なのです。
家族信託にかかる贈与税は、誰がどのような手段で財産を取得するかによって、課税される人が変わります。ポイントは利益を受けている人が誰かということ。それに着目すると誰に贈与税が課税されるかが分かってくるはずです。
贈与税を課税されるのは家族信託によって利益を受けている受益者
新人くん
家族信託契約は委託者と受託者がいて、なんとなく受託者に贈与税が課税されるような気がしてしまうけど、そうではなくて利益を受けている人に課税されるということですね
そうですね。着目すべきはそもそもの贈与税の意味。贈与税は他人から贈与を受けた場合に課税されるものです。家族信託の場合を考えると、必ずしも家族信託の受諾者は利益を受けるわけではありません。「受益者」に贈与税が課税されることを覚えておくと良いでしょう
宮川
今回は新人君やけに楽しそうですねぇ
山脇
MEMO
弊所では、ご家族が抱えるさまざまな背景や問題をヒアリングして、じっくりと時間をかけた方がいいのか、急いで進めた方が良いのかを検討していきます。ご家族の思いを大切に家族信託契約の設計をサポートしていますので、どうぞご安心ください。