認知症になってしまったら?
新人くん
親が元気なうちにきちんと資産や不動産について話しあうことや、家族信託の手続きをしておくことが大切だと分かったけど、もしなんの準備もしないうちに親が認知症になってしまったらどうなっちゃうんだろう?
事前にきちんと準備しておくのがベストですが、そういうケースはいくつも報告されています。どんなことが起こるのかを知っておくのも大切ですね
山脇
新人くん
口座凍結の先に何が待ち受けているのか気になります! 怖いですが教えてください!
認知症になってしまったら?
あまり考えたくないことですが、親や家族が認知症になった場合、銀行の口座は凍結されてしまいます。その口座からはお金をおろすことができなくなるので、親の生活費や介護費などを親の貯金から賄えなくなってしまいます。子が親に関わる費用を自腹で払い続けたことで、親も子も共倒れしてしまうというケースも…。そこで、多くの場合は「成年後見人制度」を使うことになります。
成年後見人制度とは、家庭裁判所に対して「親(家族)が自分では法律行為を行う判断能力を欠いている状態なので、財産管理などをサポートする人を指定してください」と求めるものです。
「家庭裁判所…。なんだか大変そうな手続きですね…」
そうですね。家庭裁判所に申し立てを行い、本人の事理弁識能力についての鑑定や、家庭の事情などの聞き取りも行われますので、手続きには3~4ヶ月ほどかかってしまいます。ですので、少なくともこの期間は親の生活費や介護費を建て替える必要が出てくるでしょう。
以下に成年後見人制度の詳しいステップを紹介します。
- 申立人、申立先の確認
本人の住所地から一番近い家庭裁判所になることが多いため、ホームページなどで管轄の家庭裁判所を確認する - 診断書の取得
成年後見人制度は「後見・保佐・補助」と本人の判断能力の程度に応じて、3つに分かれている。どの程度の支援が必要なのかは、診断書を基に判断するので、かかりつけ医に作成を依頼する。 - 必要書類の収集
診断書以外にも、後見開始申請書、申立事情説明書、財産目録、戸籍謄本などさまざまな資料が必要になります。 - 家庭裁判所での面接予約
申立人や成年後見人候補が家庭裁判所で行う面接の予約をする - 家庭裁判所への申立を行う
必要書類の準備ができたら、家庭裁判所へ申立書類一式を提出する - 審理開始
裁判官が申立書類を審査し、過不足がないか確認したうえで、本人の状況や本人を取り巻く環境を総合的に考慮する - 申立人や成年後見人候補との面接
申立に至った事情や、本人の状況を聞くための面接が行われる - 審判
裁判官が調査結果や提出資料に基づいて判断を決定。最も適任と思われる人を「成年後見人に選任」する - 後見の登記
審判が確定すれば、審判の内容を登記のため、裁判所から東京法務局に登記の依頼がされる。2週間ほどで完了し、その後後見人に登記番号が通知される。通知された登記番号をもとに法務局で登記事項証明書を取得する - 成年後見人の仕事開始
成年後見人に選任されたら、まずは本人の財産を調べ、「財産目録」を作成する。財産目録は1ヶ月以内に裁判所へ提出。そのほかにも、金融機関や役所への届出など、多くの仕事がある
親の生活のサポートや介護をしながら、また多くはさらに自分の仕事も抱えながら、これらの手続きをするのはかなりの労力が必要です。このようなことを避けるためにも、事前の準備が必要です。
認知症になる前に、元気なうちに家族で資産や不動産のこと、認知症になってしまった後のことを相談しておきましょう。弊所ではそんなご家族のお力になれればと考えていますので、ぜひ一度ご相談ください。
認知症になってしまったら、成年後見人制度を利用する
新人くん
成年後見人制度の手続きには3〜4ヶ月かかるので、その間の生活費や介護費の立て替えが必要になるということですね
立て替えは思った以上に大きな金額になることもあります。成年後見人制度の手続きには多くの資料や煩雑な手続きが必要なため、こうなる前に事前で家族で話し合い、準備をしておくことが大切ですね
山脇
MEMO
認知症は治らない病と言われています。そうならないための努力が必要ですが、もしものときに備えた手続きとして、家族信託があることを是非忘れないでください。